毒親から逃げるのが簡単ではない理由〜気持ちが揺らいでしまうとき〜
毒親に育てられた人が親になるときの心構え
「学校だと声が小さい」って言わないで〜子どもの人見知り、恥ずかしがり屋でも大丈夫〜
毒親から逃れて憧れの家庭へ〜安心して話し合いができる家は親子ともに成長できる〜
原因論を目的論に〜『嫌われる勇気』を読んでうつ病を楽に受け入れる方法〜
うつ病になったせいで、周囲の人と同じような経歴を辿れなかった。自分は他の人より条件が悪いせいで、人生がうまくいかない。そんなふうに悲観的に捉えていました。でも、原因論で考えるだけでなく、目的論にそって考え直してみると、案外すんなりありのままの自分を受け入れられるようになりました。はじめは戸惑うかもしれませんが、原因論で悩んでいる方は、目的論を使ってちょっと発想を変えてみると楽になるかもしれません。以下、私の場合を具体例としています。
強い人には通用しない?
ところで、主人とこの話をしたところ、「こう言っちゃあなんだけど、この2つの違いは重要なの?」と聞かれました。私にとっては重要な違いなんですが、主人いわく「俺のように図太い神経を持っていれば、不可能性についてどんな言い方をしても関係ないよ。」と笑っていました。
うつ病のせいで活動できないにしても、活動したくないからうつ病になったにしても、「寝たほうが良いに変わりはないんだから堂々と寝てれば良い」ということでした。考え方の出発点はさておき、主人のほうが早く「じゃあどうすれば良いか」という解決策を導き出そうとしているみたいですね。しかも、「堂々と寝てれば良い」って(笑)すでに自分の考えや行動に自信のある方には必要のない思考法かもしれませんね。
私はつい言い訳がましく自分を正当化しようとしがちなので、素直になれる考え方の1つとして使っていくつもりです。
毒親を持つ人に読んでほしいオススメの本〜毒親育ちが親になるとき〜
毒親に悩んだ人が親になり、子どもを持とうとするとき、一番心配なのは、「自分も毒親と同じことをしてしまったらどうしよう」という不安だと思います。そのときに、自分をどう健康に保ち、子どもとどう良好な関係を築くのか。そんなヒントを与えてくれるおすすめの本の紹介です。もちろん、親にならない方にもオススメです。
嫌われる勇気
過去にとらわれず、自分の人生を自分で変えていって良いと背中を押してもらえる本。トラウマに悩まされたり、毒親の価値観と本来の自分との間に挟まれて苦しい思いをしているときに、自分は自分、幸せになっていいんですよと教えてくれます。健全な家庭でのびのびと育った人は、だいたいこの考えを基礎的に持っている気がします。初めて読んだときは、私の主人が書いたのかと思うほど、いつも主人から言われていることがたくさん書いてあって驚きました。健康な人の考え方を学べる本です。
また、直接本の概要とは関係ありませんが、本の中で青年が哲人に対し、失礼な言葉を詫びるシーンがあります。そこで哲人が、「気にすることはありません。プラトンの対話篇をお読みになるといいでしょう。ソクラテスの弟子たちは、驚くほどあけすけな言葉と態度でソクラテスと語り合っています。本来、それが対話のあるべき姿なのです。」(p.57) と答えています。親子、家族で何かについて話し合うとき、それぞれが素直に自分の意見を出し合える家にできたらいいなあと勝手に妄想していました。
毒になる親
言わずと知れたベストセラー。きっぱり決別まで考えている人も、そうでない人にも。『嫌われる勇気』と同様、人(毒親)を変えることはできないが、勇気があれば自分を解放することはできると言っています。日本、海外問わず、毒親は世界中に存在し、パターンはどこも同じなんだなと妙に納得してしまいます。
愛着障害 子ども時代を引きずる人々
特に母親との関係が健全に築けなかった人向けです。
これを読んで、多くの偉人も親との関係が不安定だったと知りました。
最後の解決策で、これから一緒に家庭を築くパートナーと、安定した家庭を持つことで癒されていくというようなことが書かれていました。実際、私は偶然にもその形をとることになりましたが、少しずつ回復に向かっているので、大正解という感じです。
この本は、解決策を求めるというよりは、親との愛着関係が脆いとどうなるか、回復させるのにどうするか、その基本となる考えを学べる本です。
無理して学校へ行かなくていい、は本当か 今日からできる不登校解決メソッド
なんで不登校の本?と思うかもしれませんが、中に書いてある対話例が、子どもの自立を阻む毒親の言葉だったりします。健全な親子のコミュニケーションを知らないで育った私のような人が親になるとき、子どもの話にどう耳を傾けるか、親の考えを押し付けることなく伝えるにはどうしたら良いか、傾聴の具体的な方法がわかりやすく書かれています。自分や子どもが不登校の経験有無にかかわらず、健全な家庭のコミュニケーションを知るのに役立つ本です。
親との関係に悩んでいる真っ最中だったり、完全に割り切れていないときは、読むと精神的にけっこう消耗するかもしれません。でも、こういった本を手元に置いておいて、少しずつ何度も読み返すことで、免疫がついたり、自分の中で健康な家庭のイメージが湧きやすくなったりします。少しでも助けになれば嬉しいです。この他にも、健康や子どもの教育についてたくさん本を読んでいるので、またオススメがあれば随時更新したいと思います。
うつは甘えで結構です、でも〜うつ病発症後にわかったこと、症状〜
私がうつ病と診断されてから、約5年たちました。いまでは正しく認識されつつあるうつ病ですが、私は自分が当事者になるまで全く違ったイメージを持っていました。うつ病に対する誤解と、うつ病になってからわかったこと、実際の症状を書いていきます。
私のうつ病に対する誤解
1)うつ病になる人は弱い
ちょっと厳しく言われただけですぐ落ち込んじゃう、子どもの泣き虫みたいなものだと思っていました。
そのため、
2)うつ病は甘え、ずるい
うつ病になる人は、やりたくないことから逃げて、それっぽいことを言って診断書をもらって休む、ずるい人だと思っていました。
ところが、実際はそんな生易しいものではありませんでした。
私がうつ病を経験して知った症状
1)落ち込む以前に身体に異常が出る
意識は普段通りに、起きて支度して外出して、食べて寝て、という生活をしようとしていました。でも、身体が半年以上かけて徐々に普通ではなくなっていきました。そのスピードは髪の毛が伸びるのと同じように、目には見えないけど確実に、といった感じでした。ひどくなっていくときの症状を思い出しながら、少し詳しく書いていきます。
・謎の下痢が続く
何を食べても、何を飲んでも、お腹をこわしていました。外出するにも遅れないようにトイレの時間を計画的に確保し、外出先でトイレの場所確認、各駅降車前提で早めに移動開始。いくら時間があっても足りません。これのおかげで得したことは、どこのトイレがきれいか調査できたことだけです。
・食欲がなくなる、味を感じられなくなる
お腹が痛くなるせいなのか、食欲がどんどん減っていきました。それに加えて、味が感じられなくなりました。だから、余計に食べることが無意味なものになってしまっていました。味がわからないので、ポテチやチョコレートなど味の濃いお菓子をよく食べていました。少しずつ食べる量が減って行き、ひどいときは1日1食未満で活動していました。
・体重が減る
食欲がなくなり、いつも下痢をしていたせいで、危険なダイエットに成功しました。会う人会う人に「痩せたね〜」と言われ、20代のそのときの体重は、いまより身長が低かった中学生のころよりずっと少なかったです。(中学生のころは細身でした。)最終的には15kgほど減って栄養失調状態にまでなってしまいました。
・なぜかだるい
とにかく疲れてだるい。例えるなら、ノロウイルスとインフルエンザと気管支炎に一度にかかっているのにマラソン走らなきゃいけないような、重さ、だるさ、疲れ。そんな感じでした。
・ほとんど睡眠がとれない
寝つきが悪い、眠りが浅い、悪夢を見る、夜驚、すぐ目が覚める。もともと幼少のころから睡眠は得意ではありませんでした。だから私にとっては「いつものこと」でしたが、それでも1日30分しか眠れないような日が続くのは異常中の異常でした。
2)メンタル面の異常が出てくる
・友達と会話がかみ合わない、店員と意思疎通がとれない
眠れないせいなのか、ぼーっとしてるせいなのか、とにかく頭が働かなかったです。本当に簡単な会話が成立しませんでした。例えば、店員さんに「ここ(レシート)にサインしてください。」と言われているのに、ペンを受け取ってそのレシートをなぜか募金箱に入れようとしたり(笑)。きっと店員さんもドン引きでしたよね、意味がわからないし失礼すぎる(笑)今だから書いていて笑っちゃいますが、そのくらい頭がおかしくなっていました。このときは、一緒にいた友人が何度も丁寧に私にやり方を説明してくれて、この話も回復してから教えてくれました。相手が言っていることが理解できないし、自分が思っていることを伝えられない。そういうことがかなり多くありました。
・文章が読めない、書けない
会話がかみ合わないのと同様、読むことも書くことも難しくなっていきました。何度も何度も同じ行を繰り返していて進まず、進んでも結局意味がわからない。そしていつものように書くことができない。そもそも何を読んだのかわかっていないし、何を書けばいいのかがわからない。特別難しいことをしているわけでもないのに、何も進まない状態でした。普段、本や新聞を読んだり、思ったことを書いたりするのが好きだっただけに、ここを奪われちゃったのはつらかったです。
・根拠のない焦り、不安感が一日中付きまとう
この不安感はうつ病の診断から5年たった今でもまだ続くときがあります。何か具体的な心配ごとがあるのなら、不安になっても理解できますが、理由がないのでとても厄介です。私の場合、診断前はちょうどこれから就職活動が始まりそうという時期だったので、最初は就活が不安で焦りを感じているのかと勘違いしていました。
・突然泣き出す
理由もないのに悲しくなって、お風呂場やトイレでよく泣いていました。家族がいたので声を出さずに静かに泣きましたが、その泣き方は大切な人を亡くしたような泣き方でした。
・昔の嫌なことが思い出されて止まらない
もうずいぶん昔にされた理不尽な思い出などが、大量に連続で湧いて出てきて、自分ではどう頑張っても止めることができませんでした。なんとか気を紛らわそうと音楽をかけてみたり、映画をかけてみたりしましたが、全く効果なし。散歩していても、どんどん嫌な考えが思い浮かんで、何も手につかなくなりました。
3)それでもなお、元気に活動しようともがく
頑張らなきゃという謎の義務感に囚われていました。うつ病なんてみじんも思いつかず、体調不良も何かと言い訳を作っては、気のせいだと思い込んでいました。寝ず食べずでも、学校行かなきゃ、就活準備しなきゃ、そればっかり考えていたので、栄養ドリンク1本飲んで平常運転を心がけました。もちろん、栄養ドリンクでもお腹が痛くなるので、早め早めに支度していました。
4)自分が価値のない人間だと決めつける
そして最後、悪化に悪化を重ねた末、本当に自殺を考えました。普段の活動はできない、起き上がれないからといって横になっても眠れない、眠っても悪夢を見て発狂して自分の声にびっくりして起きる、好きなことはできない。あれ、私、何してるんだっけ? もう何もできないから終わってもいいんじゃ? 実際に行動に至らなかったのは、思考できず、かつ動けなかったからだと思います。方法が思いつかないし、体が弱っていて大して動けないので、結果的に、うつのせいで自殺を考えているのに、うつの症状に助けられたようなところがあったかもしれません。実際に行動にしてしまう人は、少し体に回復がみられた頃だと聞いたことがあります。私はたまたまタイミングに助けられただけだったのかなと思うこともあります。
うつは甘えで結構ですが
はしょった部分もありますが、私のうつ病はだいたいこんな感じで少しずつ少しずつ悪化していきました。いま思うことは、うつ病について知らないと、もしくは誤解していると、自分や自分の大切な人がこの病気にかかったとき、治療が遅れてしまう危険性があるということです。もし当時の私がうつ病について、少なくとも身体症状が出ることくらい知っていたら、半年も我慢することなく、重症化する前に対処できていたのに。もしもっと早く治療を始めていたら、もう少し軽い症状で、回復も早かったかもしれないのに。そう思っています。「うつは甘え」と誰かに言われても、私は何も感じませんが、もしまだそのような勘違いをしている方がいたら、ぜひご自身の体を大切にしていただきたいなと思います。