【妊娠9ヶ月】電車で席を譲ってもらって嬉しかったので感謝の気持ちを伝えたい
妊娠9ヶ月。
もう少しで産休に入るところ。
普段から電車で仕事に通っているけれど、ラッシュ時にはあたらないよう勤務時間を調整してもらっているので、基本的には座れないほど混雑した電車に乗ることはない。
妊婦健診も同じく、混んでいる電車には乗らない。
それでもときどきは、ちょっと時間が予定よりズレてしまったり、たまたま混んでいる車両に乗ってしまうこともあった。
その日は仕事帰り。
引き継ぎなどもあって少しいつもより勤務時間が延びてしまった。
加えて、乗り換えの都合などで、普段なら乗らない車両に乗ることになった。
帰宅ラッシュの時間でとても混んでいた。
ドア付近だと危ないかなと思い、手すりにつかまれるよう車両の中のほうに移動した。
ちょうどその1週間前に同じ路線に乗ったとき、列車が急停車して座っていても衝撃だったので、少し警戒していたこともある。
手すりにつかまろうとしたとき、その目の前に座っていたスーツ姿の中年の男性が「座ってください。」と言って席を譲ってくれた。
妊娠してから初めて席を譲ってもらった。
全く期待も予想もしていなかったので、正直はじめは驚いた。
すぐに「ありがとうございます。」とお礼を言って、それから座らせてもらった。
だんだん、嬉しさが込み上げてきて、電車内では泣くのを我慢するのに精一杯だった。
コロナ渦の妊娠生活で、野生の凶暴な動物になったんじゃないかと思うくらい、超神経過敏の状態だった。
例えば、誰かに話したことはないけれど、私はきっと"マスク警察"と呼ばれる部類の人間なんじゃないかと思っている。
周囲を見回しては、正しくマスクを着用していない人に対して、心のなかで「うわ、危ない!」などと判断しては避けて。
声には出したことはないから、"隠れマスク警察"くらいなもんか。
それからマタニティマークも、トラブルに巻き込まれてはいけないと思い、全然目立たないところに付けていた。
リュックの背中側なので、背負っているときは見えないし、おろして前に抱えても見えない。
ミニショルダーにも付けてはいるけど、外にはプラプラさせずに、なかにしまっていた。
緊急時に妊婦だと気づいてもらえればいいや、という使い方だった。
緊急時以外に誰かに「妊婦だと気づいてもらおう」という考えがもともとなく、それよりも「妊婦だとわかれば嫌がらせに遭うかも」「ひったくりに狙われやすくなるって言うし」と、悪いことばかり考えていた。
ただ、妊娠後期にもなれば、お腹もかなり目立つので隠せないし、私の場合はどこからどう見ても、妊婦だとわかる見た目だった。
だから、マタニティマークはもう、隠していてもあまり意味はない。
せいぜい後ろからひったくりに狙われにくくなる程度か?
とにかく、それまでの妊娠期は、異常なくらい神経過敏になって過ごしていた。
外出時、特に電車では、「誰か悪い人がいるかも」という過剰な警戒心を持っていたために、けっこうこわかったんだと思う。
そんなときに、かの男性が全くなんの躊躇もなく「座ってください」とすぐに気づいてくださった。
だから、本当に本当に本当に嬉しくて、自宅の最寄り駅をおりてから、泣きながら帰宅した。
電車が混んでいて、おりるときにもう一度お礼が言えなかったけど、男性も同じ駅でおりたようだったので、同じ地域に住んでいると思うと余計に嬉しかった。
私も妊娠前までは、当然のように席を譲っていた。
きっと、男性にとってもそれは、当たり前のことだったんだと思う。
特別なことではなく、ただのいつもの日常。
「いいことをした」とか「譲ってあげた」とか、そういう気持ちはなく、ただ「そういうものだから」という感覚なんだと思う。
少なくとも私が席を立つ側だったときは、そうだった。
だけど、譲ってもらう立場になってみたら、とてもとても特別なことだった。
自分がしてもらうという発想がなかったとはいえ、こんなにあたたかい気持ちになるとは、思いもしなかった。
親切をする側にとっては、なんでもない100回のうちの1回でも、受ける側にとっては、特別な1回なのかもしれない。
今回席を譲っていただいた男性にはもちろんですが、私に限らず、妊婦に限らず、普段から他人を気遣い親切にしてくださるみなさんに、心から感謝の気持ちをお伝えしたいです。
本当に本当に、本当にありがとうございます。
どうかこの気持ちが伝わりますように。