結婚後に気づいた『私は毒親から名前で呼ばれていなかった』
子どもは親の所属物だと思っている私の両親。
対して、子どもか親かに関わらず、一人一人に丁寧に接する夫の両親。
結婚して、夫の両親にちょくちょく会うようになって、初めて気づいた。
「夫家では、子どもは親から名前で呼ばれてる?」
「私、両親から名前で呼ばれてなくない?」
約30年の間、私は名前で呼ばれないことに違和感を持つことさえなかった。
それが当たり前だと思っていたから。
だけど、それに気づいてしまってから、用事があって仕方なく短時間だけ実家に帰ると、悲しい気持ちになってしまう自分がいる。
父からは、お前。
母からは、あんた。
と呼ばれる。
姉妹間で区別が必要なときだけは、花子、英恵、みたいに名前で呼ばれるが、基本的に名前で呼ばれることはない。
父が姉妹全員を呼ぶときは、お前たち。
母が姉妹全員を呼ぶときは、あんたたち。
母がよく言う。
「小さいころは可愛かったのに。」
「しゃべるようになったら、だんだん生意気で憎たらしくなってきた。」
両親のいう"可愛かったころ"には、普通に「花子〜」みたいな感じで、私は両親から名前で呼ばれていたようだ。
その様子がホームビデオに残っている。
しかしいつからか、父はホームビデオのなかで
「アイツはダメだやる気がない」
「あれは大したもんだな」
など、私のことを「アイツ」「あれ」と呼んでいる。
そういえば、妹のこともそんな風に呼んでたな。
田舎出身だから?
昔の人だから?
でも夫の両親も田舎出身だし、年齢も変わらない。
私の友人両親だってそうだ。
やはり、うちの両親の考え方の問題なのでは。
理由はなんにしろ、子どもの名前を呼ばずに、「あんた」「お前」と表現することは、すなわち、「子どもを一人の人として尊重しよう」という考えを持っていないことを示唆しているのかもしれない。
夫が両親から必ず名前で呼ばれるのが、羨ましい。
例えば、ヒロキという名前なら「ヒロ」、ショウゴなら「ショウ」みたいに省略して呼ぶことはあっても、決して「あんた」などと呼んでいるのを聞いたことはない。
この記事を書きながら、ふと気になって夫に
「あなたと兄弟をまとめて呼ぶときは、両親はなんて呼ぶの? お前たちって言う?」
と聞いたら、
なんと夫は、お茶を吹き出してしまった。
「お、お前たち?(笑)」
「一度も呼ばれたことないなあ(笑)」
そんな呼び方をするなんて、ずいぶん偉そうだなと「お前たち」を連呼しながら、笑いが止まらない夫。
落ち着いてから、
「普通に名前呼びだよ。"ショウとヒロ"って。」
と答えてくれた。
よほど偉そうだというのがツボに入ったのか、はたまた私の両親のやり方が気に入らないのか、夫はこれをネタにして笑い始めた。
「今度、両親のことを"お前ら""あんたたち"って呼んでみたら?」
「お前たちは昼ごはん食べたんですか?」
「あんたたち、これ食べますか?」
って。
呼び方は極めて雑なのに、敬語なところが滑稽だ。
「もし"なんだ親に向かってその呼び方は!"って怒られたら、"親に習いました"って言えばいいじゃない!」
と、まだ笑っている夫。
夫には、お茶を吹き出してネタにするくらい、笑える話だったのか。
私もつられて笑ってしまったけど、親から名前で呼ばれるって、そんなに普通のことなの?
私は、親から名前で呼ばれていなかった。
悲しいなあ。
自分の子には、その分ってわけじゃないけど、たくさんたくさん、名前で呼びたい。
思い入れがあってプレゼントした大事な名前だもの。
呼ばないなんて、もったいなすぎる!!!
名前にまつわる余談
そういえば、夫は胎児ネームに「さん付け」して呼んでいた。
丁寧な呼び方で気に入ったので、私も自然と真似をしていた。
夫のこういうところは、見習いたいなあと思う。
ちなみに、私は両親からもらった名前自体はめちゃくちゃ気に入っている。
母はあとからなにかとケチをつけてきたが、そんなことはどうでもいい。
私は、自分の名前の漢字も意味も気に入っているんだ。
しかも私の名前は、夫の姓になってから、姓名判断の運勢がさらに良くなった。
占いは、信じるのではなく、使うもの。
これから人生をより良いものにできるように、いろんなことに挑戦していきたい。