毒親から逃げるのが簡単ではない理由〜気持ちが揺らいでしまうとき〜

心身ともに健康な人は「そんなに親が嫌ならさっさと逃げればいいじゃん」と思うかもしれませんが、考える頭を長い月日をかけて毒親に麻痺させられているので、まともに逃げられないのです。DVなどに見られる夫婦や恋人関係と似ていて、共依存の関係にあるようなものです。変な刷り込み教育をされたおかげで、毒親が望むこと以外をするときは、仮に正しいことをしたとしても、つねに罪悪感を抱えることになります。
 
自分の親が本当に毒親なのかわからなくなる
世の中にはもっとひどい虐待を受けている子や、ひどい扱いを受けてきた人もいるんだから、自分の場合は当てはまらないのでは?と揺らいでしまう。また、親が絶対に正しいという教育を受けてきているため、自分がおかしいのかもと疑ってしまいます。そして、「しつけのため」「自分のためにそうした」と親の言葉を信じてしまっていて、勝手に「他の家もこんなものかな」「自分がまだ大人になりきれないから」とか思い込んでいます。
 
恩もあるし、、と思ってしまう
「逃げなきゃ!」「逃げよう!」と決意したはいいものの、実際に家を出るときになると「それでも育ててもらった恩があるよな」と急に後ろめたさが襲ってきます。
 
義務感と無力感から逃げられなくなる
「子どもは親を大切にしなければならない」「親に逆らってはいけない」「お前は一人ではやっていけない」と幼少の頃から刷り込まれているので、逃げようとしても怖気ずいてしまうのです。
 
過剰に顔色を伺ってしまう
仮に親がおかしいのではと疑って逃げたところで、もし逃げたら今後どう言われるかと考えすぎて、恐怖で動けなくなります。実際逃げたあとも「親はどんな顔してるだろう」と不機嫌な親の顔を想像しては、「親の思い通りになれなかった自分」に罪悪感でいっぱいになります。
 
物理的に距離を置いた後も逃げられない
親から離れて暮らしてからも、毒親の精神的な呪縛から逃れるのには長い時間を要します。私は実家を出てから約5年たちますが、はじめの数年は毒親への罪悪感から不安で怯えていました。そして、生活のあらゆる面で、どれだけ毒に侵されていたのか気づきます。今もまだ完全には抜けきっていません。
 
親が変わってくれたかもと期待を抱いては傷つく
お互い距離を置いて時間がたち、生活が落ち着いて精神的にも安定してくると、なぜか「もしかして親も私の気持ちをわかってくれたかも」と幻想を抱きます。もちろんそんなことは起こりえません。数年離れて暮らしたくらいで変わってくれる親なら、もうとっくの昔に良親になっていたでしょう。
 
結局は傷つくので接触しないのが最善策
会って話をしたあとは、とにかくぐったりしてしまいます。話題がなんであれビクビクしながら対応しているので、その後はとんでもない疲労感です。そして数日してから、「あ、まだ自分は親に恐怖を感じているのか」と気づきます。だから、両親との良い思い出や恩は大事に受け取って次の世代に返し、いまも私を精神的に縛りつけようとする人たちからはきっちり距離を置こうと決めています。もちろんまだまだ揺らぎますけど。気をしっかり持たないと。